私が1番好きなギタリストは、Nuno Bettencourt(ヌーノ・ベッテンコート)です。
彼はアメリカのハードロック・バンド「EXTREME(エクストリーム)」のギタリストとしてデビューしました。
洋楽ハードロック好きなら知らない人はいないと思います。
傑作を数多く発表していますが、EXTREME解散後に発売された公式ベスト盤はイマイチ。このベスト盤でEXTREMEを初めて聴いた人には残念な選曲だと思っています。
そこで、個人的に選曲した「表ベスト」を作成。EXTREMEとNunoへの愛が溢れる管理人JJがアルバム評を書きなぐり、最後にAmazon Musicのプレイリストでベスト選曲を紹介したいと思います。
「表」と書いたのは、裏ベストがあるから。ただ、Amazon/Spotify/iTunesといった有名所のサブスクでは聴けない曲ばかりなので紹介しづらいのですが、それは次回に続く。
EXTREME
ディスコグラフィー
1985年、EXTREMEを結成。
1989年、アルバム「EXTREME」でデビュー。
翌年発表した2ndアルバムの「PORNOGRAFFITTI」がスマッシュ・ヒット。収録曲のバラード「More Than Words」は全米No.1を獲得。
ちなみに、日本のロック・ユニット「ポルノグラフィティ」の名前は、このアルバム・タイトルから拝借されています。
1992年、3rdアルバム「Ⅲ SIDES TO EVERY STORY」を発表。
1995年、4thアルバム「WAITING FOR THE PUNCHLINE」を発表。
作曲・プロデュースを1人で行っていたNunoは、メンバーへの苛立ちからバンド活動に嫌気がさし、脱退を表明してソロ活動を始めます。キー・パーソンを失ったEXTREMEは1996年に解散しました。
この後、Vo.のゲイリー・シェローンは一時Van Halenに加入しています。
1998年、個人的にベスト選曲じゃないベスト盤「The Best Of Extreme」発売。
2008年に再結成し、5thアルバム「Saudades De Rock」を発表。
音楽性
ヌーノはファンクの影響を受けたプレイ・スタイルが個性となっており、PORNOGRAFFITTI発表時は「ファンク・メタル」というジャンルを標榜していました。
1stアルバムは、当時ありふれたLAメタルでファンク要素は少ないです。可もなく不可も無く、ヌーノのギター・プレイを楽しむ楽曲となっています。
2ndアルバムが出世作になります。音に厚みが増し、ギター・リフはファンク要素がふんだんに散りばめられ、キャッチーなメロディと重厚なコーラス、そして随所でヌーノのスーパー・プレイを楽しめます。このアルバムからメイン・ギターにWashburn製の「N4」が使われ始めます。
3rdアルバムでヌーノの音が出来上がり、4thで完成した印象です。
本国アメリカでの評価は「More Than Words」がヒットした一発屋バンド扱いとなっています。
これは、3rdからカットされたTRAGIC COMIC [EP] が発売されている事からも垣間見えます。収録曲はアコギのバラード曲メインとなっていました。
ですが、音楽性は高く、キャッチーなリフが多く万人受けする楽曲が揃っており、ハードロック・バンドとして正当に評価されて欲しいと思っています。
ドラムはね、イマイチなんですよ
EXTREMEの弱点、それはドラム。
全曲単調で似通ったビート。タイトなリズムと言えば聞こえが良いですが、フィル(おかず)が皆無で面白みがありません。
ドラマーのポール・ギアリーは4thアルバム発売前に脱退し、マネージャーに転身。
後任ドラマーはマイク・マンジーニが迎えられました。Steve Vaiのドラマーとして有名なテクニシャンです。彼が加入した事で次のアルバムを楽しみにしていましたが、惜しくもバンドは解散。
4thアルバムの3曲はマイク・マンジーニが叩いています。このアルバムからシングル・カットされた「Hip Today」は彼の演奏なので、ドラムに着目して聴き比べると面白いです。
アルバム評
1st「EXTREME」
ディストーションが効いたアメリカン・ハードロックの音。当時全盛だったLAメタルの1バンドと言う感じで、未だEXTREME、Nunoのオリジナリティはありません。
ヌーノが影響を受けたバンドは、Van Halen、Queen、The Beatles等であると公言しています。
このアルバムは全体的にVan Halenの影響が強いです。また、コーラスの重厚感や10曲目の「Rock A Bye Bye」はQueenの影響を感じます。
このアルバムには秀逸な曲はありませんが、それは私が「そもそもVan Halenが好きじゃないから」という理由だと思います。
強いて挙げるなら
02. Wind Me Up
11. Play With Me
になります。
2nd「PORNOGRAFFITTI」
捨て曲ナシの名盤。ハードロック好きなら絶対に聴いた事があるであろう名盤。これぞファンク・メタル。
1stよりも音質が良くなり、ギターも良く歪み、でも音は潰れず絶妙なトーン。馴染みやすいキャッチーなメロディとリフ、そして重厚なコーラスが楽しめます。語るよりも聴くべしの1枚。
3rd「Ⅲ SIDES TO EVERY STORY」
2ndとは作風がガラリと変わり、シンプルな4ピース・バンドの生々しい音で構成されています。でも、2ndよりも先に向かったEXTREMEの音だと言う事が明確にわかる作品。
コンセプト・アルバムだからという理由ではありますが、曲調のギャップが激しいです。7曲目の「Seven Sundays」が顕著な例で、急に音圧が上がるのと合わせて驚きます。良い曲が揃っていますが、アルバムの統一感が取れていない印象は否めません。
EXTREMEファンからは好評価を受けていたものの、セールスは奮いませんでした。
4th「WAITING FOR THE PUNCHLINE」
音は3rdの更に延長にあるアルバム。音の生々しさは全アルバムで1番です。最初は退屈に聴こえるであろう「Naked」はヌーノの最高の音が聴けるスルメ曲です。
発売当時はグランジが台頭し、ムーブメントに合わせてどのバンドもグランジ・オルタナ寄りにシフトしていました。EXTREMEも同様で、キャッチーなメロディやコーラスは削がれましたが、このアルバムが1番好きというファンも多いです。それ程に生々しい演奏が録音されています。
05. Naked
06. Midnight Express
は、ギタリストなら聴いて損はありません。
Midnight Expressはアコギのインスト曲で必聴モノ。ヌーノのライブでは必ず演奏される代表曲となっています。
5th「Saudades De Rock」
再結成後のアルバム。以前のEXTREMEらしさは消えました。Nunoファンが彼の楽曲と音を聴く為のアルバムだと思います。
今までに無かったカントリーフレーズがあったり面白さはありますが、往年のアメリカン・ハードロックを求めて聴くと肩透かしを食らう一品。
というわけで、個人的には「2nd → 3rd → 1st OR 4th → 5th」の順に聴くのがオススメです。
my favoriteは2nd~4th の3枚。
公式ベスト盤「The Best Of Extreme」
The Best Of Extreme 収録曲
- Decadance Dance【PORNOGRAFFITTI】
- Rest In Peace【Ⅲ SIDES TO EVERY STORY】
- Kid Ego【EXTREME】
- Get The Funk Out【PORNOGRAFFITTI】
- Tragic Comic【Ⅲ SIDES TO EVERY STORY】
- Hip Today【WAITING FOR THE PUNCHLINE】
- Stop The World【Ⅲ SIDES TO EVERY STORY】
- More Than Words【PORNOGRAFFITTI】
- Cupid’s Dead【Ⅲ SIDES TO EVERY STORY】
- Leave Me Alone【WAITING FOR THE PUNCHLINE】
- Play With Me【EXTREME】
- Hole Hearted【PORNOGRAFFITTI】
- Am I Ever Gonna Change【Ⅲ SIDES TO EVERY STORY】
13曲収録されていますが、コレジャナイ感が強いです。
Kid Egoは個人的には好きではありませんがまぁ良しとして、7,10,13曲目は他にもっと良い曲があるだろ、と思ってます。Midnight Expressが入っていないなんてシンジラレナイ。Stop The Worldはシングル・カットされた曲なので、好きな人はいるとは思います。
JJ選曲のベストはこれだ
アルバム時系列に並べました。ギターの音の変遷とロックのムーブメントがわかると思います。
30秒試聴しかできないと、良さを伝えきれないのが、この4曲。
02. Decadance Dance
06. Pornograffitti
09. Hole Hearted
10. Warheads
Decadance DanceとWarheadsはイントロが長いとは言え、Amazonさん、なぜその部分が試聴箇所なんですか。。
Rise ‘N Shineもイントロが長い曲なので、カットされているTragic Comic [EP]版をチョイス。
EXTREMEの楽曲は日本人受けするキャッチーさとコーラスの美しさを備えています。あまりロックは聴かないという方もこの機会に是非耳を傾けて頂けたら嬉しいです。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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